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 筑波大、海洋酸性化がサンゴ礁をつくる生物におよぼす影響を定量化

発表日:2021.10.25


  筑波大学は、海洋酸性化(以下「OA: Ocean Acidification」)の進行に伴い「石灰藻」の種多様性が減少し、適応性の高い種のみ生き残る可能性があると指摘した。石灰藻(体に炭酸カルシウムを沈着させる海藻類)はサンゴと同様に石灰質からなる地形を形成する生物で、世界中の浅海域に生息している。OAは石灰藻に深刻な影響を与える考えられているが、影響の現れ方や程度に関する評価は報告ごとに異なっていた。今回、298本の論文のデータを基に「メタアナリシス」手法を駆使して統合的な知見を導き出した。例えば、石灰藻の加入・石灰化・個体群の維持などにおける負の影響を定量化することに成功した他(例:pHが0.4低下した場合の喪失:成体の15%、幼体の21%)、石灰藻にとってOAは最大の環境変動要因であることを突き止めた。OAは他の環境要因と相互作用をあまり有していないが、石灰藻の藻体表面の化学的環境の変動は相乗的もしくは拮抗的作用を及ぼすこと、群落組成の変化(種多様性の低下)や生理学的メカニズムへの影響も示唆された。IPCCの最も厳しい温暖化シナリオ(RCP8.5)では2040年以降に顕著な負の影響が予測されたことから、今回得られた知見の精査と気候変動応答の詳細解明を急ぎ、世界各国の機関と連携した影響評価研究に取り組んでいくという。

情報源 筑波大学 TSUKUBA JOURNAL
機関 筑波大学 筑波大学生命環境系 筑波大学下田臨海実験センター
分野 地球環境
自然環境
キーワード 海洋酸性化 | RCP8.5 | 種多様性 | 造礁生物 | Ocean Acidification | 石灰藻 | メタアナリシス | 環境変動要因 | 群落組成 | 気候変動応答
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