オムロン(株)は、多様な包材をシールできる「AI温度調節器」の開発ストーリーを紹介した。海洋プラスチックごみ問題が顕在化し、多くの企業が各種容器や包材を減量・減容化、さらにはプラスチック製包材を紙素材や生分解性プラスチックなど(以下「環境配慮包材」)に切り替える取組が本格化しつつある。AI温度調節器は、世界でもトップクラスの市場シェアを誇る温度調節器(同社調べ)の基盤技術を活かして開発された。現在普及している自動包装機は、商品が袋に充填されると、シールバーと呼ばれる高温に熱した金属バーで袋の口を挟んで接着する仕組みになっている。シールバーの温度が適正な範囲に超えると包装不良が発生する。他方、環境配慮包材は熱の伝導性や耐性がプラスチック製包材と異なるため、包装不良がより多く発生し、それが包材変更の阻害要因となっていた。開発メンバーは、適正温度に設定しているにもかかわらず、なぜ包装不良が起こるのかといった根本原因の検討に時間を費やした。その上で、包装時の接着面の温度変化を従来の1/10にするという高い目標を掲げ、粘り強く検討を重ねていった。温度調節器の性能やスペック向上を主目的とせずに、プラスチック包材の削減を念頭において取り組んだという。その結果、センサーの材質や構造を一から見直し、耐熱性を高めるとともに、高速で動くシールバーに対応できるよう応答性を向上させることで、シール面の温度を正確に測定することに成功した。また、高速で変動する温度を制御し、ぶれなく一定に保つために温度制御アルゴリズムを改良し、さらにAI技術の導入によって温度変動に従って自動でパラメータを調整し、温度を精密に制御することを可能にした。2018年に、これら要素技術を搭載した「AI温度調節器」の発売に至り、当該分野においてPerfect Sealingという付加価値が創出された。開発チームのリーダーは「温度調節器と海洋プラスチックごみ問題。一見かけ離れているようなところにも、突き詰めれば私たちが解決すべき社会的課題はたくさんある。」と振り返り、「あらゆる部門で社会的課題を見出し、自らの技術を活かしてその解決に力を尽くす。」と述べている。
情報源 |
オムロン(株) EDGE & LINK
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機関 | オムロン(株) |
分野 |
ごみ・リサイクル 環境総合 |
キーワード | 生分解性プラスチック | 海洋プラスチックごみ問題 | AI温度調節器 | 紙素材 | 自動包装機 | シールバー | 包装不良 | 温度制御アルゴリズム | AI技術 | Perfect Sealing |
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