気象庁は、世界気象機関(WMO)温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)が発刊した「温室効果ガス年報第18号」を公表した(公表日:2022年10月26日)。WDCGGは気象庁が運営し、世界中の温室効果ガス観測データを収集・解析している。今次年報によると、大気中の主要な温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素)の増加が続いており、2021年の世界平均濃度はいずれも観測史上最高を更新した。また、2020年から2021年までのメタンの濃度の増加量は、観測史上最高の18ppbとなった。メタンは二酸化炭素と比べて大気中での寿命が短く、1分子当たりの温室効果が大きいことから、メタン排出量の削減は地球温暖化対策への速やかな効果が期待されている。メタン放出の約6割は人間活動(畜産、稲作、化石燃料採掘、埋め立て及びバイオマス燃焼など)によるため、メタンの排出削減を二酸化炭素の長期的な排出削減と併せて実施することが、地球温暖化を緩和するために重要であると考えられている。同年報は、11月6日から18日にエジプト、シャルム・エル・シェイクで開催される国際連合枠組条約第27回締約国会議(COP27)で配布され、国際的な気候変動対策の基礎資料として用いられる予定となっている。