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 最小の真核生物「メダカモ」、新たなバイオリソース創出への基盤固まる

発表日:2023.01.27


  東京大学、東京理科大学、日本女子大学、国立環境研究所および山口大学は、微細藻類「メダカモ(学名:Medakamo hakoo)」の研究進展と最新の知見を発表した(掲載誌:Communications Biology)。微細藻類は、光合成(CO2固定)機能を初めて獲得した真核生物と考えられている。生態ピラミッドの基底に位置していることから、地球環境や生態系における役割は極めて大きい。しかし、その大部分は未同定であるため、既知の原始的な藻類を用いた研究と併せて、新種の探索が進められている。メダカモは、原始紅藻の増殖や細胞小器官の理解に向けた研究の一環として、単細胞かつゲノムサイズが極小の藻類を探す取り組みの中で発見された(Kuroiwa, T. et al., 2015)。当時、新種の探索は極限環境(極地・火口・深海など)を中心に行われていたが、メダカモはメダカ等の飼育水槽の中にいた。緑色に変化した水槽の水を寒天培地上に塗り付けて培養し、発生したコロニーから単離することができる。直径わずか「1 μm」と藻類としては最小クラスで、光合成生物にも関わらず7,629個の遺伝子しか持っていない(cf. クラミドモナス:14,000超)。メダカモと他の微細藻類のゲノム比較解析を行った結果、藻類の必須遺伝子が1,263個であるという新知見も得られた。また、培養環境の明/暗を定期的に繰り返すことで、細胞数や細胞の大きさを人為的に制御できる。本成果は、身近な環境に未だ多くの新種・微細藻類が存在することを示唆するとともに、メダカモの有用性を裏付けている。細胞生物学・進化系統学・合成生物学などの基礎研究はもとより、カーボンフリーな有用物質生産への応用展開が期待できるという。

情報源 東京大学大学院新領域創成科学研究科 記者発表
東京理科大学 プレスリリース
日本女子大学 プレスリリースのお知らせ
国立環境研究所 報道発表
山口大学 新着ニュース
機関 東京大学大学院新領域創成科学研究科 東京理科大学 日本女子大学  国立環境研究所 山口大学
分野 自然環境
環境総合
キーワード ゲノム | 光合成 | 微細藻類 | カーボンフリー | 最少遺伝子セット | 同調培養 | バイオリソース | メダカモ | Medakamo hakoo | Communications Biology
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