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 “珍しい行動”をAIがキャッチ?!阪大・名大の新規バイオロギングデバイス

発表日:2024.01.16


  野生動物に各種装置(GPS装置、各種センサ、データロガー等)を取り付け、生態や生息環境に係わる情報を収集する手法(バイオロギング)がさまざまな新知見をもたらしている。近年ではスタンドアロン型のビデオカメラを装着した調査も盛んに行われており、野生動物の知られざる行動習性が続々と発見・報告されている。目覚ましい進化を遂げている技術ではあるが、装着するデータロガー等は対象動物の体重を考慮して選定する必要があり、小型の動物を対象とする調査ではバッテリーの制約を受け、撮像時間が短くなってしまう(例:500 gの海鳥では約2時間)。野生動物の行動の全貌を長時間にわたって記録する、もしくは稀にしか見せない行動(以下「希少行動」)を的確に検知できるデバイスが理想的である。大阪大学大学院情報科学研究科の大学院生の谷垣慶さんと前川准教授、名古屋大学大学院環境学研究科の依田教授らの研究グループは、小型動物向けバイオロギングデバイスの開発に力を注いでいる。先行研究では、研究者が撮像する行動を予め指定し、希少行動を記録するバイオロギングデバイスを開発している。本研究では、事前の指定を省略することに重点を置いた改良が進められた。ポイントは、消費電力が比較的少ない加速度センサを用いて、デバイス上でリアルタイムに希少行動(異常値)を検知する仕組み。事前の指定(研究意義)を人工知能(AI)が代替できるようにするため、あらかじめ高性能なコンピュータでメモリ使用量の大きい異常検知モデルを構築したあと、その挙動を模倣するメモリ使用量の小さい異常検知モデルを「知識蒸留」するというステップを踏んでいる。新たな仕組みをバイオロギングデバイス上に実装し、オオミズナギドリに装着した結果、同種の採餌や飛行直後の特徴的な行動を確認することができた(仮称:頭振り行動など)。バイオロギングのさらなる普及展開、ひいては極限環境におけるAI設計・実装への応用が期待される(DOI: 10.1093/pnasnexus/pgad447)。

情報源 大阪大学 ResOU
機関 大阪大学 名古屋大学
分野 自然環境
環境総合
キーワード 野生動物 | 人工知能 | AI | オオミズナギドリ | データロガー | ビデオカメラ | バイオロギング | 知識蒸留 | バイオロギングデバイス | 異常検知モデル
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