大阪市は、帯水層蓄熱システム熱源井構築ガイドラインを作成した。帯水層蓄熱利用は、地中熱利用の一種であり、浅い地盤中にある低温の熱エネルギーを利用する。地下10から15メートルの深さでは、年間を通じて温度がほとんど変化せず、夏季は外気よりも低く、冬季は外気よりも高い温度となることを利用し、効率的な冷暖房が可能となる。今回、作成されたガイドラインは、特に省エネルギー効果に優れる帯水層蓄熱技術(ATES)の普及を目的としており、帯水層蓄熱システム導入を検討する事業者向けに、これまでの技術開発や実証事業の成果を基に、概要、導入計画、導入条件、熱源井の構築と施工、維持管理についてとりまとめている。同市は、在大阪オランダ王国総領事館と公立大学大阪と協力関係を築き、共同で取り組むための覚書を締結した。帯水層蓄熱システムは、オランダなどで1990年代から普及しており、2014年には3,000件以上の導入実績があり、地下水利用やシステムに関する多くの知見が蓄積されている。また、大阪公立大学は地盤情報に基づく揚水量や蓄熱効率などの高度な専門的知見を持っている。同市は、両者と協力し、帯水層蓄熱システムの社会実装に向けた取り組みを推進するという。