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 新たな省レアアース磁石、環境負荷ゼロに貢献?!

発表日:2024.05.27


  物質・材料研究機構(NIMS)は、省レアアース新規磁石化合物SmFe8.8N1.1の合成に成功した。この化合物は、ネオジム鉄化合物を超える磁気物性値を持つ。持続可能な社会の実現には、二酸化炭素排出量の低減が重要である。そのため、電動化が進み、駆動モータの高特性化が求められている。ネオジム磁石は強い磁力を発生し、電動自動車の駆動モータとして多用されるが、高温で特性が悪く、ジスプロシウムの添加で熱減磁を補っていた。ネオジムやジスプロシウムはサプライチェーンリスクが大きく、これらを使わない磁石化合物の探索が進められていた。TbCu7型のSm-Fe(1-7系)化合物は高い磁化が期待されるが、安定相のTh2Zn17型Sm2Fe17化合物の存在で注目されてこなかった。今回、Sm-Fe(1-7系)化合物を基にしたSmFe8.8N1.1の単結晶薄膜の合成に成功し、その磁気物性値を測定したところ、Nd2Fe14Bを凌ぐ特性を発見した。室温で22テスラの異方性磁界、1.64テスラの飽和磁化、770ケルビンの高いキュリー点を持つ。過去のSmFe7系合金粉では信頼性の高い測定が難しかったが、今回の単結晶膜作製により、従来より高い磁気特性が実証された。高温でNd2Fe14Bを超えることから、ネオジムやジスプロシウムを使わなくても優れた磁石が得られる可能性が高い。さらに、サマリウムを利用し、ホウ素を必要としないため、資源的・価格的に有利である。今後は、実用的な磁石の実現に向け、SmFe8.8N1.1の大量生産方法や磁石形状へのプロセス開発が進められる。

情報源 物質・材料研究機構 プレスリリース
機関 物質・材料研究機構
分野 ごみ・リサイクル
環境総合
キーワード 持続可能 | 二酸化炭素排出量 | 電動化 | 省レアアース | 新規磁石化合物 | 磁気物性値 | 駆動モータ | サプライチェーンリスク | 単結晶薄膜 | 磁気特性
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