森林総合研究所は、小笠原諸島の南鳥島における海鳥相の現況調査を実施した。南鳥島は日本最東端に位置し、国内で唯一太平洋プレート上にある孤島である。この特殊な地理的条件により、南鳥島はユニークな生物相を有している。今回の調査では、過去に乱獲や生息地破壊により絶滅したヒメクロアジサシとシロアジサシの繁殖が120年ぶりに確認された。ヒメクロアジサシは日本最大の集団繁殖地であり、シロアジサシは国内唯一の繁殖記録である。ただし、これらの営巣は全て侵略的外来種であるトクサバモクマオウ(樹木)の樹上で見つかった。トクサバモクマオウは防風林として植えられたが、近年分布を広げている。一方で、在来樹の森林はあまり再生していない。外来樹の森林が発達したことで、保全対象となる海鳥の集団が回復したが、これは保全上の大きなジレンマである。―――本成果は、外来植物の管理に一石を投じるものであり、今後の管理方法の議論が必要である。南鳥島の生態系を再生するためには、トクサバモクマオウの管理と在来樹の森林の回復が不可欠である。
情報源 |
森林総合研究所 プレスリリース
|
---|---|
機関 | 森林総合研究所 |
分野 |
自然環境 |
キーワード | 外来種 | 生物多様性 | 生態系 | 環境管理 | 繁殖 | 森林再生 | 南鳥島 | 保全 | 海鳥 | トクサバモクマオウ |
関連ニュース |