統計数理研究所の村上准教授、電気通信大学の清教授、産業技術総合研究所の江利口研究員の研究グループは、新しいプライバシー保護データ解析プロトコル(PPDAP: Privacy-Preserving Data Analysis Protocol)を開発した。このプロトコルは、パーソナルデータの漏洩を防ぐ「差分プライバシー(DP: Differential Privacy)」を満たし、各ユーザが自身のデータを暗号化して中間サーバ(shuffler)に送信する仕組みである。shufflerはデータをランダムサンプリングし、ダミーデータを追加してシャッフルし、サービス事業者に送信する。──近年、スマートフォンやウェアラブル端末、IoTの普及に伴うパーソナルデータの収集・解析頻度が高まっている。しかし、これらのデータ解析はプライバシーの保護と表裏一体の関係にあり、より安全な運用を図るための指標としてDPが用いられている。DPの測定に当たっては、これまでシャッフルモデルというプロトコルが活用されてきた。しかし、シャッフルモデルは、ポイズニング攻撃やデータポイズニング、結託攻撃などに脆弱性がある。──新たなプロトコルは、ユーザがノイズを加えずにデータを暗号化して送信し、shufflerがノイズ付与処理を行うことで、従来の課題解決を図ったものである。今後はプライバシーを強固に保護しながら、高精度な頻度分布の推定を可能にするため、位置情報解析やウェアラブル端末からのデータ収集など、様々なデータ解析タスクへの応用が期待される。なお、本成果は、情報セキュリティ分野の最難関国際会議The 46th IEEE Symposium on Security and Privacy (S&P 2025)に採択された。
情報源 |
統計数理研究所 研究成果
電気通信大学 ニュースリリース 産業技術総合研究所 ニュース(研究成果) |
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機関 | 統計数理研究所 電気通信大学 産業技術総合研究所 |
分野 |
環境総合 |
キーワード | データ解析 | プライバシー保護 | 頻度分布 | 差分プライバシー | シャッフルモデル | ポイズニング攻撃 | 結託攻撃 | ランダムサンプリング | ダミーデータ | 暗号化 |
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