情報通信研究機構(NICT)と名古屋工業大学は、「地上−衛星間光通信における大気ゆらぎの影響を克服する次世代誤り訂正符号の伝送実験」に世界で初めて成功した(掲載誌:ICSOS 2025)。
誤り訂正符号とは、通信中に生じる誤りデータを自動的に修復するために付加される符号であり、今回用いられた「5G NR LDPC(低密度パリティ検査符号)」は第5世代移動通信(5G)で採用されている高性能な訂正技術である。また「DVB-S2」は衛星放送向けに策定された規格で、通信効率と誤り訂正能力を両立させる設計がなされている。
地上−衛星間光通信では、大気の乱れによるフェージングが通信品質を低下させる課題があり、NICTはこれまでの知見をもとに、インタリーバ(誤りの分散処理)と誤り訂正符号の条件を調整して実験を行った。その結果、フェージングによって連続的に発生した誤りデータを訂正できることが確認され、通信品質の向上に寄与することが示された。
本成果は、地上で使用される5G通信プロトコルや衛星放送の宇宙ネットワークへの適用可能性を示すものであり、将来の地上−衛星間光通信システムの実用化に向けた重要な一歩とされる。なお、本技術は、NICTの光地上局とJAXAの光衛星間通信システム(LUCAS)を用いて実証されたものである。