海洋研究開発機構と神戸大学内海域環境教育研究センターは「統合的栄養位置(iTP)」の有用性を実証した。──iTPは、両者が共同開発した新指標であり、生物群集のバイオマスに含まれるアミノ酸の窒素同位体比を測定することで、食物網におけるすべての生物の栄養位置をバイオマスで加重平均し、生物間の複雑な捕食・被食関係を定量化するために開発された。本研究では、琵琶湖流域での多地点観測調査により、iTPが河川間や季節間でダイナミックに変動することが明らかになった。これまで、河川と海洋においてiTPが生物多様性と相関することが報告されていたが、iTPを用いることで生息する生き物の平均的な捕食・被食回数を知ることが可能となり、生態系の構造と機能をより深く理解するのに役立つ。両者は、陸域や水域の様々な生態系から知見を集積することで、今後はiTPの有用性がますます高まると述べている。