環境省は、経済協力開発機構(OECD)が3月21日に公表した「OECD環境保全成果レビュー(EPR)」の概要などを紹介した。EPRは、OECDの環境政策委員会・環境保全成果作業部会が取りまとめている報告書で、加盟各国における環境政策の取組状況について相互にレビュー・勧告を行うことを目的としている。2024年のレビュー国はフランス、ドイツ、韓国で、日本は1993年、2002年、2010年に続き4回目のレビューを受けた。OECDのEPRチームは2024年6月に来日し、関係省庁や経済団体、自治体、学識経験者、NGO等からヒアリングを実施し、千葉県匝瑳市のソーラーシェアリング施設等も視察した。また、2024年12月には報告書の「評価及び勧告」部分が加盟国によって承認されている。──【EPRの概要】日本は、2050年までに温室効果ガス排出量をネット・ゼロにすることを法律に明記し、2030年度までに温室効果ガスを2013年度の水準から46%削減することを誓約している。エネルギー使用量の削減と低炭素エネルギー源への転換は進展しており、エネルギー原単位は2010年以降、OECDのトレンドに沿って30%減少している。同国では、生物多様性の損失を止め、反転させるための自然を活用した解決策(NbS)が注目されている。主な取組には、沿岸湿地とマングローブ林の回復と保護、都市緑地の拡大などがある。また、森林の管理やブルーカーボン生態系の研究を推進している。日本の主要大気汚染物質の排出量は過去10年間で減少しており、硫黄酸化物(Sox)と窒素酸化物(Nox)の濃度はOECD加盟国の中で最低レベルとなっている。PM2.5の排出量は減少しており、環境品質基準(EQS)を遵守しているが、PMに関連した死亡率や福祉への影響はOECD諸国の平均よりも高い。