東京農工大学、東京農業大学、ノルウェー南東部大学、茨城県自然博物館の国際共同研究チームは、ツキノワグマの道路横断行動に関する研究成果を発表した。
野生動物にとって道路は、移動の障壁であると同時に、車両との衝突や人間との接触といったリスクを伴う存在である。研究チームは、2005年から2023年にかけて本州中部に生息するクマにGPS装置を装着し、移動経路と道路横断の関係を解析した。その結果、クマは一般的に道路を回避する傾向があるが、繁殖期や過食期には資源獲得のためにリスクを冒して道路を横断する行動が確認された。特に繁殖期のオスは、メスよりも広い行動圏を持ち、すべての種類の道路を頻繁に横断する傾向があった。一方、メスは繁殖期にはゲート付き道路以外を避ける傾向が強かったが、秋の過食期には食物を求めて主要道路や生活道路も横断するようになった。また、クマは昼間よりも夜間に道路を横断する頻度が高く、道路の種類によっても横断傾向に差が見られた。最も頻繁に横断されたのはゲート付き道路で、次いで生活道路、主要道路の順であった。これらの結果は、クマが人間活動の強度や時間帯を認識し、それに応じて行動を調整している可能性を示している。
本研究は、クマの生息地保全や人間との軋轢回避のためのゾーニング管理、交通インフラの配置計画に対して、科学的根拠を提供するものである(掲載誌:Journal of Zoology)。
情報源 |
東京農工大学 プレスリリース
東京農業大学 ニュースリリース |
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機関 | 東京農工大学 東京農業大学 ミュージアムパーク茨城県自然博物館 |
分野 |
自然環境 |
キーワード | ツキノワグマ | 人間活動 | 繁殖期 | リスクテイキング | 生息地分断 | ゾーニング管理 | GPS追跡 | 道路横断 | 行動圏 | 被害対策 |
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