大林組とアイシンは、ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた共同実証実験を開始した。実験は東京都清瀬市の大林組技術研究所にて行われ、アイシンが開発した太陽電池の性能を、大林組の施工技術と設置方法を用いて検証する。
ペロブスカイト太陽電池は、ヨウ素を主要材料とし、軽量・柔軟・薄型という特性を持つ次世代型の太陽電池である。従来のシリコン太陽電池では設置が難しい建物の壁面や屋根などにも適用可能であり、国内調達が可能な材料を使用する点や、製造工程の簡素化による低コスト化の可能性から、再生可能エネルギーの拡大に貢献する技術として注目されている。
今回の実証では、2つの技術的課題に対する検証が行われる。第一に、建物使用中でも太陽電池の交換が容易に行える「ファスナー取り外し式工法」の開発である。この工法では、ペロブスカイト太陽電池付きのシートを、通気性のあるメッシュシートに特殊ファスナーで固定することで、部分的な交換や保守が可能となる。第二に、年間発電量を最大化する設置方法の検証である。従来の南向き30度設置に比べ、より多くの太陽電池を搭載できる設置形状をシミュレーションにより算出し、同研究所屋上に施工した。試算では、同一面積当たりの発電量が20%以上増加する可能性が示されている。アイシンは、有機系太陽電池の研究開発で培った技術を活用し、高効率かつ高耐久性のペロブスカイト太陽電池の開発を進めている。──今回の実証は、新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）助成事業の成果を活用しており、両社は今後、ビル・工場・インフラ構造物などへの適用を視野に、技術開発を加速させる方針である。