神奈川県は、次世代型太陽電池の早期普及に向けた取り組みとして、ペロブスカイト太陽電池を活用した実証事業(FS)5件を県内各地で開始することを発表した。ペロブスカイト太陽電池は「薄くて、軽くて、曲げられる」という特長を持ち、従来のシリコン型太陽電池に比べて設置の自由度が高く、都市部や既存建築物への導入が期待されている。
このFSは、県が新たに創設した「次世代型太陽電池普及促進事業費補助金」に基づき、県民や事業者に技術の実用性を「見える化」することを目的としている。採択された事業には、神奈川中央交通(日常の公共交通機関での活用)、日産自動車(販売店での展示・活用)、PXP(県庁施設での設置)、ベイサン(防災センターでの応用)、マクニカ(観光地での導入)などが含まれ、実証場所の多様性が特徴である。事業は9月下旬から順次開始される予定である。
さらに、県は「かながわ脱炭素推進会議」の下に「次世代型太陽電池早期普及プロジェクト」を新設し、企業、大学、自治体、金融機関、団体、県民など約40者が参画する体制を整えた。プロジェクトでは、実証事業の成果を活用しつつ、倉庫の屋根などへの設置を想定したケーススタディを通じて、技術的・制度的課題の整理と需要創出を図る。第1回会議は令和7年7月30日に神奈川県庁で開催され、学識経験者や電池開発メーカー、設置希望企業などが参加する予定である。会議では、開発状況や課題の共有、今後の視察計画などが議論される。――本取り組みは、2050年の脱炭素社会の実現に向けた地域主導の技術普及モデルとして位置づけられており、神奈川県が主体となって推進している。