東京汽船とMarindowsは、日本初となるピュアバッテリーEVハーバータグボートの開発プロジェクトを開始した。港湾からの温室効果ガス(GHG)排出ゼロを目指す「カーボンニュートラルポート(CNP)」政策に則り、横浜港および川崎港での運航を予定している。
港湾内で大型船舶の曳航や操船補助を行うタグボートの多くはディーゼル燃料を使用している。今回のプロジェクトでは、内蔵されたリチウムイオン蓄電池のみで運航する「ピュアバッテリーEVタグボート」を開発対象とし、CO2排出ゼロの実現を目指す。搭載予定の蓄電池容量は6.66 MWhで、陸上には2基の2,000 kWh蓄電池と1,000 kW級急速充電器を設置する計画である。東京汽船は2023年に、2,486 kWhの蓄電池を搭載したハイブリッド型電気推進タグボート「大河」を就航させており、今回のプロジェクトはその運航経験を踏まえた次世代技術への展開である。船の主要諸元としては、最大曳航力53トン、推進出力3,000 kW、速力14ノット(約26km/h)を予定しており、2030年の就航を目指す。
技術開発には(株)e5ラボが加わり、船舶の電動化と港湾の脱炭素化を両立させる今回の取り組みを支援する。本プロジェクトは、国内港湾におけるゼロエミッション船の実現に向けた先進的な取り組みとして、港湾政策と船舶技術の融合を象徴する事例となるだろう。