愛知県西三河地域に根ざした、植木鉢など日用品を中心に展開される焼き物「三河焼」の老舗メーカーである『丸俊セラミック(本社:愛知県碧南市)』は、アイシングループの『シーヴイテック(本社:愛知県田原市)』と共に、産業廃棄物(バレル研磨汚泥)の売買基本契約を締結し、取引を開始した。両社はこの汚泥をアップサイクルし、植物の成長を促進する素焼鉢として再生させることで、循環型社会の実現を目指す。
「バレル研磨汚泥」とは、自動車部品の製造工程で発生する廃棄物であり、鉄分を多く含む。丸俊セラミックはこの汚泥を植木鉢用粘土に配合し、独自の成形・焼成技術を用いて新たな素焼鉢を開発した。対照実験では、鉄分が鉢から溶出することで植物の根に活力を与える効果が確認されており、従来の通気性・保水性による「枯れにくさ」に加え、「活力効果」が加わることで植物の生育がより活性化することが示された。また、植木鉢の効果検証には、南米原産の大型植物を用いた対照実験が行われ、鉄分を配合した鉢の方が、植物の根の活力や成長速度において優位性を示した。
丸俊セラミックは、地域活性化を視野に入れたデザインに強みを持つ株式会社RW(本社:愛知県名古屋市)とタッグを組み、新ブランド『ハニトネ』を立ち上げている。「埴(はに)土物」と「根」を組み合わせた造語であり、根に空気を効率よく届けることを重視した設計思想に基づいている。2025年10月より専用WEBサイトで販売を開始する予定だ。――アイシングループは「自然共生社会」「循環型社会」「脱炭素社会」の構築を目指す取り組みの一環と捉え、事業系廃棄物に新たな価値を見出すことで、環境配慮型の製品開発を推進している。