環境省は、環境経営マネジメントシステム「エコアクション21(EA21)」の認証制度を拡張し、GHGプロトコルに準拠した排出量算定・開示を可能とする「エコアクション21アドバンスト」を新設した。
パリ協定の採択以降、ESG投資の拡大や企業によるScope3対応の加速が進む中、中小事業者にも国際基準への準拠が求められている。こうした状況を踏まえ、環境省は現行制度を維持しつつ、GHGマネジメント機能を強化する追補版として本制度を策定した。本制度は、既存のEA21認証制度を基盤としつつ、Scope1・Scope2排出量の算定・報告を通じて、国際イニシアティブ(SBT、CDP等)への対応やバリューチェーン内の連携強化を支援する枠組みである。
エコアクション21アドバンストでは、GHGプロトコルに基づく温室効果ガス(CO₂、CH₄、N₂O、HFCs、PFCs、SF₆、NF₃)の算定が求められ、環境経営目標・計画・レポートに反映される。Scope1はエネルギー使用に限定され、化学反応や焼却は対象外、Scope2は電力のみを対象とし、熱・蒸気等は除外される。中小企業に配慮し、該当しない項目は除外可能であり、既存のEA21認証事業者は簡易なステップでアドバンスト認証へ移行できる。
本制度は、EA21の簡易性と実効性を維持しつつ、国際的な環境情報開示に対応可能な新たな認証制度として位置づけられ、環境経営の高度化と企業価値向上に資するものとされている。制度の運用は「エコアクション21認証・登録制度」に基づき実施される。