電気通信大学を中心とする共同研究グループは、2022年のトンガ沖海底火山噴火によって放出された水蒸気が約2年かけて中間圏に到達し、2024年の夜光雲の活動を活発化させたことを、日本の静止軌道衛星「ひまわり」などの観測データを用いた総合解析により明らかにした(掲載誌:Earth, Planets and Space)。
本研究は、1880年代から議論されてきた「火山噴火と夜光雲の関係」について、世界初の観測情報を提供する成果である。夜光雲は高度80〜85kmの中間圏に発生する天然の雲で、1885年に初めて観測されたとされる。これと同時期に発生したクラカタウ火山の噴火との関連が長年議論されてきたが、観測手段の限界から実証には至っていなかった。
今回の研究では、NASAの衛星「Aura」による水蒸気観測と「ひまわり」による夜光雲の高感度観測を組み合わせ、噴煙起源の水蒸気が中間圏に到達した2024年に夜光雲の発生頻度が約15%上昇していたことを確認した。さらに、大気温度の影響と水蒸気の影響を分離する独自解析に成功し、因果関係の特定に至った。
研究グループは、今後も夜光雲の連続観測を継続し、火山噴火や気候変動などの要因による夜光雲の動態変化の解明に取り組む方針である。なお、本研究は日本学術振興会科学研究費補助金による支援を受けて実施された。
| 情報源 |
電気通信大学 ニュースリリース
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|---|---|
| 機関 | 電気通信大学 |
| 分野 |
地球環境 自然環境 |
| キーワード | 成層圏 | 水蒸気 | 火山噴火 | 科学研究費補助金 | 中間圏 | 夜光雲 | ひまわり | 静止衛星 | 地球気候変動 | 上下結合 |
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