広島大学は、和歌山県と大阪府の沿岸の潮間帯でパンダ模様をもつ新種のヨコエビ「ヨリパンダメリタヨコエビ(学名:Melita pandina)」を発見した。本種は体長5~10 mmで、砂地の転石下に生息し、横向きに移動する特性をもつ(掲載誌:Zoological Science)。
今回の調査は、日本沿岸の分類学的未解明領域を解消する目的で実施された。日本沿岸は世界的にヨコエビ類の種多様性が高いが、メリタヨコエビ属の分類学的研究は十分に進んでいなかった。既知種であるパンダメリタヨコエビと同様の白黒模様をもつ未記載種の存在は以前から知られていたが、分類が難航していた。今回、詳細な形態観察と遺伝子解析により、新種であることが確認された。
特徴的なパンダ模様は捕食者回避のカモフラージュと考えられるが、遺伝子解析の結果、両種は系統的に近縁ではないことが判明した。このことは、模様の類似が「収れん進化」によるものである可能性を示す。今回の発見は、日本沿岸域における種多様性が従来予想以上に高いことを示し、未調査地域での分類学的研究が新種発見や保全の基礎データとなることを示唆する。研究グループは、今後両種の生態や行動を解明することで、模様の進化的背景を探る方針という。
和名は、パンダ好きとして知られる文筆家でラジオパーソナリティーの藤岡みなみ氏が命名を担当し、「もっとパンダらしい新種が見つかったことに驚いた」とコメントしている。
| 情報源 |
広島大学 ニュース&トピックス(研究成果)
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| 機関 | 広島大学 |
| 分野 |
自然環境 |
| キーワード | 生物多様性 | 沿岸生態系 | 潮間帯 | 遺伝子解析 | 分類学的研究 | 新種発見 | 収れん進化 | カモフラージュ |
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