山梨県富士山科学研究所、筑波大学、長野県環境保全研究所の研究グループは、侵略的外来種ガビチョウ(Garrulax canorus)が日本の高山帯に生息していることを初めて確認した。本成果は、中央アルプス国定公園の高山帯におけるガビチョウの「鳴き声」の記録に基づくものである。(掲載誌:Bird Research)。
ガビチョウは2005年に環境省の特定外来生物に指定され、日本生態学会の「侵略的外来種ワースト100」にも選定されている。ガビチョウは本来、中国南部から東南アジアに分布し、日本では1980年代に北九州市で野外記録が得られて以降、低地や積雪の少ない地域で分布を拡大してきた。近年、山間部への進出が報告されていたものの、樹林帯を越えた高山帯での確認事例は報告されていなかった。研究グループは2024年に中央アルプスの高山帯で初めて鳴き声を録音し、亜高山帯の複数地点でも本種のさえずりを確認した。さらに、山梨県富士山科学研究所は標高1,500 m以上の山地帯での録音データを提供し、分布拡大の実態を裏付けた。
なお、ガビチョウのさえずりは2024年8月6日に標高約2,770mのハイマツ低木林で記録された。これは、ガビチョウが繁殖期に高山帯を利用し始めたことを示唆している。本種は資源をめぐる競争や卵の捕食を通じて、在来鳥類に悪影響を及ぼす可能性がある。また、高山帯への外来鳥類の侵入は国内では前例がない。研究グループは今後、「高山帯や亜高山帯での継続的なモニタリングが必要であり、本種の定着が進む場合には在来高山性鳥類への影響解明が急務である」と述べている。
| 情報源 |
⼭梨県富⼠⼭科学研究所 プレスリリース
TSUKUBA JOURNAL |
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| 機関 | ⼭梨県富⼠⼭科学研究所 筑波大学 長野県環境保全研究所 |
| 分野 |
自然環境 |
| キーワード | モニタリング | 特定外来生物 | 侵略的外来種 | 高山帯 | 中央アルプス | ガビチョウ | 生息域拡大 | 生態系影響 | Garrulax canorus | 外来鳥類管理 |
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