立正大学、産業技術総合研究所、九州大学の研究グループは、小笠原諸島に回遊するアオウミガメの消化管に含まれるプラスチックを調査し、汚染の実態と起源を解明した(掲載誌:PeerJ Life and Environment)。
世界のプラスチック廃棄物は年間5,210万トンに達し、その約43%が水生環境へ流入する危険性が指摘されている。海洋生物への影響は魚類から鯨類まで広範囲に及び、日本近海に分布するアオウミガメも例外ではない。本種は繁殖のため本州沿岸から小笠原諸島へ回遊するため、広域で浮遊・堆積・藻類に付着したプラスチックを摂取する可能性がある。
研究グループは、小笠原諸島の母島で採捕した10個体を対象に、顕微鏡観察、DNA解析、炭素・窒素安定同位体比分析を組み合わせて調査を実施した。調査結果では、10個体中7個体の消化管からプラスチックが検出され、平均出現数は9.2±8.5個(最大31個)、重量は平均15.28 gであった。大きさはマクロプラスチック(10cm²〜1m²)が56.5%、メソプラスチック(10mm²〜10cm²)が41.3%を占めた。摂食要因として、藻場の大型海藻に混在するプラスチックの誤食や、クラゲ類などゼラチン質プランクトンとの誤認が示唆された。さらに、摂食されたプラスチックには日本語、簡体字、繁体字、ハングルの表記があり、起源はアオウミガメの回遊域を超えることから、越境汚染であることが判明した。
研究チームは、プラスチック摂食が消化管損傷や毒性化合物の影響を及ぼす可能性を指摘しつつ、「国際協力によるプラスチック汚染の軽減が必要だ」と述べている。