筑波大学数理物質系物質⼯学域の後藤准教授らは、複数の放射性物質を吸着・遮断する紙パルプコンポジットシートを作成した成果を発表した(掲載誌:Composite Interfaces)。紙パルプにデンプン、ポリアニリン、プルシアンブルー、アルギン酸を組み合わせ、抄き合わせ法で多層構造に加工したシートは、セシウム、ヨウ素、ストロンチウムを効率的に吸着することが確認された。
放射性物質の拡散抑制は環境問題として重要であり、紙パルプは機能性高分子を混合・修飾することで新たな性質を付与できる。本研究では、プルシアンブルーでセシウム、アルギン酸でストロンチウム、ポリアニリンでヨウ素を吸着する特性を活用し、簡便な抄紙法でシート化した。
実験では、4種のコンポジットを湿潤状態で重ねてプレスし乾燥させ、均一な多層型シートを得た。プラズマ発光分析により、ストロンチウム58%、セシウム67%の吸着を確認し、ヨウ素処理で重量が5%増加した。厚みを増せば性能向上が期待される。
研究者は、「環境中の有害物質吸着や医療分野での保護材への応用を視野に入れている」と述べており、今後は微細な抄紙網やキャレンダー処理による高品質化、段ボール状の梱包材への展開を進める方針である。