理化学研究所と九州大学は、再資源化が困難とされてきたエンジニアリングプラスチックを高付加価値化学品へと転換するケミカルアップサイクリング技術を開発した。高分子固体酸触媒とマイクロ波加熱を組み合わせ、廃棄プラスチックを化学品原料へ変換する手法を用いて得られた結果を報告している(掲載誌:Green Chemistry)。
本研究では、世界的に需要が拡大する一方で再資源化が難しい「ポリオキシメチレン(POM)」を対象に、高分子固体酸触媒PAFR II(m-フェノールスルホン酸・ホルムアルデヒド樹脂)とマイクロ波加熱を併用した。260 mol ppmという低濃度の触媒存在下でPOMを分解し、生成物をジオール類と反応させることで、溶媒や化学品原料となる環状アセタールへ変換した。
モデル反応では、1,3-プロパンジオールとの反応により、環状アセタールである1,3-ジオキサンを99%の収率で得た。油浴加熱では同反応の収率は73%であり、加熱方法による差が確認された。触媒濃度を100 mol ppmまで低減した条件でも収率79%を示し、他の酸性触媒との比較ではPAFR IIが最も高い反応成績を示した。使用済み触媒は6回の再使用後も97〜99%の収率を維持した。
実際のPOM製廃プラスチック製品や数百µmサイズのマイクロプラスチック、炭素繊維強化POM(CFRP)に適用したところ、56〜95%の収率で化学品を得た。ライフサイクルアセスメントでは、従来法の6.08 kgCO₂-eq/kgに対し、1.88 kgCO₂-eq/kgのGHG排出量であることが示されている。