広島大学の研究チームは、農業湿地の防風林が鳥類群集を選択的に変化させることを明らかにした。林や藪を利用する林縁性の種やムクドリは増える一方、ヒバリやケリに代表される草原・湿地性スペシャリストは生息しにくくなる。防風林を一律に増やす施策は、農地全体の生物多様性の向上と必ずしも両立しない可能性があると指摘した(掲載誌:Journal of Environmental Management)。
本調査は石川県河北潟周辺の水田・ハス田で実施された。調査地において防風林からの距離と種数・個体数を解析した結果、防風林に隣接する地点では草原性鳥類の個体数が開放的な地点(約1 km離れ)に比べ約70%少なかった。湿地性のチドリ類・サギ類・カモ類では種数の低下が確認された一方、藪や林の縁を利用する種は増加した。
防風林は営巣や隠れ場所として機能し一部の鳥に恩恵を与えるが、開けた視界を必要とする地上営巣種には生息地分断や捕食リスクの増大をもたらす可能性があるが、農地樹林帯の整備は「常に善」という前提ではなく、種群間のトレードオフを伴う介入であると考察している。
研究チームは、防風林の配置や間隔、規模が鳥類や捕食者の行動にどのように関係するかについて、今後さらに検証する必要があるとしている。また、季節や土地利用の違いを踏まえ、農業湿地における開放環境の維持量を明らかにすることを重要な点として挙げている。さらに、これらの検証を踏まえ、防風林と開放環境を組み合わせた景観設計指針の提示を目指すとしている。
| 情報源 |
広島大学 ニュース&トピックス(研究成果)
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| 機関 | 広島大学 |
| 分野 |
自然環境 |
| キーワード | 水田 | 捕食リスク | 生息地分断 | 防風林 | 農業湿地 | ハス田 | 草原性鳥類 | 湿地性鳥類 | 林縁性 | 景観設計 |
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