(独)産業技術総合研究所電子光技術研究部門の池田伸一主任研究員らは、大成建設(株)技術センターと共同で、アスベストを現場で溶融処理するシステムを開発した。この技術は、ハロゲンランプの光源と回転楕円型の反射鏡による集光加熱技術、アスベスト廃棄物成形技術をそれぞれ開発し、システム化したもので、アスベストの剥離・除去現場などオンサイトで、無害化を目的とした溶融処理を行うことができる。今回、開発したオンサイト溶融処理システムを用いて、1500℃程度の高温で、実際のアスベスト廃棄物(飛散性吹付材:クリソタイル含有)の溶融処理を行ったところ、処理後の廃棄物にはアスベストが含まれていないことを透過型電子顕微鏡観察により実証した。これにより、これまで困難と考えられてきた、アスベスト廃棄物のオンサイト溶融処理技術の確立が期待される。今後、アスベストの溶融処理速度などをさらに改善し、実用化のための実証試験を行っていく予定だという。