(独)国立環境研究所は、同研究所の研究成果を分かりやすく伝える研究情報誌「環境儀」第41号「宇宙から地球の息吹を探る-炭素循環の解明を目指して」を刊行した。人間活動の増大に伴って、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)やメタン等の大気中濃度が増加を続けており、将来の気候への影響が懸念されている。そのため、環境省・国立環境研究所・宇宙航空研究開発機構(JAXA)の三者は共同で、CO2とメタンの大気中濃度の詳細な時間・空間分布を、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)を使って宇宙から観測するGOSATプロジェクトを進めている。同研究所では、衛星からのデータを濃度データに変換するとともに、これらの観測結果を用いて全球でのCO2の地域的な吸収・排出量の推定を行っており、京都議定書の第一約束期間におけるCO2排出削減量の地域的な検証に用いられることが期待されている。今号では、GOSATプロジェクトの体制や、センサ開発から打ち上げ、実際の観測に至るまでの経緯を説明するとともに、GOSATプロジェクトにおける同研究所に課せられた2つの目的について解説している。