(独)国立環境研究所は、東京近郊で発生した汚染物質が、輸送とともに光化学反応をうけて北関東で微小粒子状物質が高濃度になることを解明したと発表した。同研究所では、複数の研究機関と共同で2007年夏季に関東で大気の集中観測と起源解析、数値シミュレーションを行った。微小粒子の成分データと放射性炭素(14C)同位体比の測定結果に基づく統計解析および3次元化学輸送モデルによるシミュレーションによって、東京近郊で発生した化石燃料起源のガス状・粒子状の物質が風で輸送されるとともに光化学反応をうけた結果、北関東で都心部以上に微小粒子がしばしば高濃度になることが明らかになった。また、微小粒子に含まれる元素状炭素の大半は自動車排出ガス由来で、有機炭素の大半は二次生成であることがわかった。これらにより、大気中の微小粒子濃度を低減させるためには、個別の地域での取り組みだけではなく、周辺地域と連携して対策を講じていくことが重要であるとしている。