イギリス気象庁は、工業汚染物質(人工エアロゾル)が大西洋のハリケーン発生数を抑制していた可能性があるとする研究結果を公表した。この研究によると、エアロゾルが雲の輝度を高めることで、太陽エネルギーを反射して地球に届く熱量を減らすことが判明、これが海水温やエネルギーの熱帯循環のパターンに影響を及ぼし、ハリケーンが発生しにくい条件を整えるとみられる。人工エアロゾル排出量の変化を気候モデルに組み入れたところ、大西洋のハリケーン発生状況の十年規模の変動がほぼ再現できたといい、1980年代に大気汚染防止法令が制定され、エアロゾル濃度が低下したことが近年のハリケーン活動増進に関係していることが示唆される。一方、エアロゾルの減少は人間の健康には有益であるほか、1980年代に熾烈な干ばつに見舞われたアフリカのサヘル地方の降水量回復にも関連しているとみられる。研究に参加した科学者は、「社会に深刻な影響を与える地域的気候変動に人工物質の及ぼす影響は、従来考えられた以上に大きいかもしれない」と話している。
情報源 | イギリス気象庁(MetOffice) プレスリリース |
---|---|
国・地域 | イギリス |
機関 | イギリス気象庁(MetOffice) |
分野 | 地球環境 大気環境 |
キーワード | 気候変動 | エアロゾル | 気候モデル | 汚染物質 | イギリス気象庁 | 海水温 | ハリケーン | 太陽エネルギー | 大西洋 | MetOffice |
関連ニュース |
|