世界資源研究所(WRI)は、農業部門から発生する温室効果ガス(GHG)の測定・管理・報告を行うための、初の手引きを公表した。世界のGHG排出量のうち17%は農業から発生するとされるが、農業からの排出は環境条件の影響を受けやすく、土地利用やその変化による炭素排出変化の計算は不確実性が高いことから、測定が困難だった。WRIなどが作成した「農業用手引き」は、農業からの排出に関する初の包括的な枠組みで、排出削減機会の明確化、削減目標の設定、関係者への報告といった管理活動に利用できると同時に、農場の生産性向上や投入品コストの削減にもつながるという。この手引きは、多国籍企業、政府機関、NGOなどの多数の専門家が参加し、2年をかけて作成。世界第5位のGHG排出国であり、農業や関連する森林破壊からの排出が多いブラジルで、農事企業による実地試験を行った。WRI関係者は、「排出がどこから生じているかを理解することが企業の排出削減の第一歩」だとして、この手引きが広く利用されることを期待している。