アメリカ海洋大気庁(NOAA)は、2017年の北極圏の気候に関する北極圏報告カードを公表した。それによると、2017年は2016年ほどの記録更新はなかったが、北極圏が数十年前のような安定した凍結地帯に戻る兆しは見られない。2017年の北極圏の気温は2016年に次いで過去2番目に高く、1981~2010年の平均より1.6℃高かった。海氷面積は毎年3月に測定する冬季の最大面積は過去最少、毎年9月に測定する最小面積は8番目に小さかったという。海氷は年々薄くなっており、多年氷の比率は1985年の45%から2017年には21%に減少している。バレンツ海とチュクチ海では2017年8月の海面温度は平均より4℃高かった。北極圏報告カードの12年目となる2017年版では、12か国の科学者85人による査読付き報告書がまとめられており、温暖化がベーリング海東部の漁業に及ぼす影響、永久凍土融解が道路、建物、インフラに及ぼす影響、高緯度地域で頻発する森林火災の脅威に関する特別報告書も含まれている。