アメリカ海洋大気庁(NOAA)が2012年12月5日発表した「北極年次報告カード」によると、北極では2012年も引き続き温暖化が進行し、北極海の海氷面積は2012年9月に過去最低を記録。夏季の海氷面積も春季末の積雪面積も記録的に減少した。グリーンランド氷床の融解は特に顕著で、同7月には1日のうちにほぼ全域にわたって融解する現象が認められた。植生も変化しており、ツンドラでは植物の生長可能な期間が延び、生育する植物が増えている。ホッキョクギツネは絶滅の危機に瀕しており、アカギツネの侵入でさらに危機が高まっているという。2012年の北極圏の気温がこの10年間と比べて特に高かったというわけではないが、北極の気候と生態系に影響するいくつもの指標に大きな変化が見られ、北極の環境システムが大きく変わりつつあることは間違いないと科学者らは述べている。また、海氷域と積雪域が後退しているため、雪や氷による太陽光の反射面が減り、北極圏に蓄えられる熱の量が増えて、さらなる融解につながるという。