地球の気候から生態系、世界の金融システムまで、様々なシステムが崩壊に向かう際に、その限界点を示す、似たような早期警報シグナルがあることをオランダ・ワーゲニンゲン大学のシェーファー氏らの研究のチームが明らかにした。ネイチャー誌に掲載された論文によると、多くの複雑なシステムには、ある状態から他の状態に突然変わる重要な限界点(後戻りできない点)があるという。また、原因になるようなゆっくりした変化が続いている場合には、システムは永久に別の状態に変わってしまう可能性があること、変化の前には警告が発せられていること等が指摘された。例えば、早期警報シグナルは、湖の富栄養化や気候の変化、さらに植生の生育状況の変化や漁業資源の減少など生態系に変化が生じる際や、喘息発作など人体に変化が生じる際にも見られる。繰り返し変化を観察できるシステムであれば、限界点を発見できる可能性があり、また、重大な変化が疑われる場合には、こうした事象が増加する可能性を判断する際に、早期警報シグナルが重要な役割を果たすという。