(独)日本原子力研究開発機構は、森林土壌に沈着した放射性セシウムの動的挙動を解明したと発表した。同研究は、東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故に由来する放射性セシウムの落葉層から土壌への移動メカニズムを解明したもの。茨城県北部の褐色森林土の落葉広葉樹林における2011年5月以降2年以上の継続観測により、放射性セシウムの移動量及びそれらの時間変化をはじめて明らかにした。大気中に放出された放射性セシウムは落葉層に沈着し、土壌表層に移行した。土壌表層から土壌中への移行は、事故直後は雨水による浸透、2年目以降は気温の変化と連動した落葉層の分解が主な要因となっていた。落葉層から土壌深層に移動する放射性セシウムの割合はごく僅かであり、地下水を経由して森林地帯から周辺地域には流出しにくいと考えられるという。一方で、土壌表層に蓄積した放射性セシウムが林産物にどのように取り込まれていくのか、注視していく必要があるという。