信州大学は、膨張黒鉛(EG)による随伴水一次処理法を開発したと発表した。石油や天然ガスの採掘時に副次的に産出される随伴水には、油分・有機物・塩分・重金属などを含まれており、随伴水処理は環境保全の観点から世界的に大きな関心が持たれている。今回研究グループでは、高いポテンシャルを有する炭素科学を生かし、特殊な炭素体を用いた随伴水一次処理法の開拓を試みた。その結果、天然黒鉛から得られる膨張黒鉛(EG)によってモデル随伴水(エンジンオイルと蒸留水から作ったモデル水)から油分を選択的に吸収し、残留油分を当初の100ppmから0.1ppmレベルまで低減できることを見いだした。この成果は、随伴水処理の一次処理プロセスとして実用化が期待され、低減化した油分含有水はその後の逆浸透膜(RO膜)などの各種膜を用いた高度処理が可能となり、資源掘削に伴う環境保全対策がより効果的に実施できると期待されるという。