芝浦工業大学と量子科学技術研究開発機構は、水素製造の将来技術とされるISプロセスの実用化につながるイオン交換膜型ブンゼン反応器を共同開発した。ISプロセスは、ヨウ素(I)と硫黄(S)を循環物質とした熱化学反応サイクルにより、水を分解して水素と酸素に変換する技術で、CO2を排出することなく、高温熱を利用して水素を製造する方法として期待されている。今回研究グループは、新たなイオン交換膜と貴金属複合触媒を開発した。イオン交換膜では、水素イオンの選択的かつ効率的な透過を実現し、陽極側の電極触媒では、過電圧の大幅削減を実現した。これらを組み合わせることで、新たな反応器(イオン交換膜型ブンゼン反応器)の開発に成功した。この成果を活用したISプロセスでは、太陽熱発電と水電解水素製造の組み合わせに比べて、10ポイント以上も効率が向上する試算結果が得られたという。