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 遺伝研など、進化の過程で魚が淡水域進出する機構を解明

発表日:2019.06.03


  情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所など国際共同研究チームは、魚が海から淡水域(川や湖など)へ進出する鍵となる因子の一つを解明したと発表した。魚の起源は海にあるが、進化の過程で何度も淡水域へ進出してきた。一部の魚は淡水域へ進出する一方で、海にとどまる魚もおり、その理由は明らかになっていない。同研究チームは、海から淡水域へ繰り返し進出し、適応放散した種として知られるイトヨ(学名:Gasterosteus aculeatus)と同種と近縁だが海にとどまるニホンイトヨ(学名:Gasterosteus nipponicus)の2種を、淡水域に似た環境(餌中にDHA含まない)で飼育した。飼育の結果、イトヨの生存率が高い事が示された。同研究チームによると、イトヨは必須脂肪酸である「DHA(ドコサヘキサエン酸)」を合成する遺伝子(Fads2)が増え、海と比べDHAが少ない淡水域に適応したという。Fads2を強制発現したニホンイトヨはDHA含まない餌でも生存率が高かった。また他の淡水魚についても、海水魚よりも同遺伝子を多くもつ事から、同遺伝子が淡水域への進出の鍵となると推定した。異なる環境から移動・定着した外来魚や、自然界と異なる環境で飼育されている養殖魚などをはじめ、さまざまな生物の環境適応の解明に応用可能な知見であるという。

情報源 国立遺伝学研究所 プレスリリース(PDF)
機関 国立遺伝学研究所
分野 自然環境
キーワード イトヨ | 進化 | 国立遺伝学研究所 | 淡水域 | ニホンイトヨ | DHA | 環境適応
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