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 長崎大など、世界の大洋おける「ジンベエザメ」の集団構造などを再推定

発表日:2020.04.09


  長崎大学、上越市立水族博物館および沖縄美ら海水族館の研究グループは、太平洋、大西洋およびインド洋の「ジンベエザメ(学名:Rhincodon typus)」の集団(系群とも言う)構造を精査した。ジンベエザメは熱帯海域・温帯海域の沿岸から外洋まで広く分布しており、三大洋を大きく移動する個体や、暖流の影響により高緯度の海域に出現する個体も記録されている。世界全体の個体数は減少傾向にあり、資源管理や保全においては、電子標識の取り付けによる行動観察とともに、血液や組織の一部を採取することで得られる遺伝学的情報が重要となっている。沖縄や鹿児島の周辺に来遊した個体が定置網に迷入することがあり、各種サンプルを採取して放流されていることから、同研究グループは分布域としては最北端である日本周辺のミトコンドリアDNAサンプル28検体の塩基配列を新たに決定し、全世界10地点・638個体のデータと併せて解析した。その結果、日本周辺の個体は他の地域と同様に遺伝的多様性が高いことが明らかになり、個体移動の可能性がある海域とない海域を区分することができた。また、大西洋には遺伝的に分化した複数の集団が存在していることが示唆され、三大洋の人口学的歴史および有効集団サイズが把握できたという。

情報源 長崎大学 学術情報一覧
機関 長崎大学
分野 自然環境
キーワード 資源管理 | 保全 | 遺伝的多様性 | 分化 | 熱帯海域 | ジンベエザメ | 温帯海域 | ミトコンドリアDNA | 三大洋 | 人口学的歴史
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