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 九大、線香の煙が気道におよぼす影響を解明

発表日:2021.04.01


  九州大学大学院医学研究院は、線香の煙(以下「IS:Incense Smoke」)が喘息の典型的な病態である「気道過敏症」を亢進(こうしん)するメカニズムを実験的に解明した。ISには発がん性物質のベンゼン等が含まれており、海外では線香を焚く寺院の周辺で大気中のPM2.5が激増したという事例もある。同大学は、ISと気道過敏症の関係を裏付ける科学的な証拠が見当たらないことから、マウスとヒト気道細胞培養モデルを用いてIS曝露の影響を評価した。気道過敏性はアセチルコリン吸入による気道収縮反応の強さで評価した。ISを1時間曝露して24時間後に測定したマウスの気道過敏性はIS非曝露マウスでの気道過敏性よりも亢進していた。一方、IS曝露に伴い、気道を覆う上皮細胞の密着結合(タイトジャンクション)が損傷し、気道炎症の原因となる抗原物質が体内に侵入するのを防ぐ機能(バリア機能)が低下することが確認された。ISによるバリア障害は喘息の標準的治療薬であるステロイドやβ2刺激薬では抑制できなかったが、抗酸化剤では抑制された。すなわち、ISは酸化ストレスを介して気道バリア機能を低下させ、喘息の悪化をもたらす可能性が示された。

情報源 九州大学 研究成果
機関 九州大学
分野 健康・化学物質
キーワード PM2.5 | Incense Smoke | 気道過敏症 | ヒト気道細胞培養モデル | アセチルコリン | 気道収縮 | タイトジャンクション | 気道炎症 | 抗酸化剤 | 気道バリア機能
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