国立環境研究所、宇宙航空研究開発機構および海洋研究開発機構の研究チームは、火力発電所等に由来するCO2の排出量を精度良く推定できる航空機リモートセンシング手法を開発した。パリ協定には気候変動対策を段階的に強化していく進捗確認サイクル(グローバルストックテイク)が導入されており、研究・技術開発の成果は定期的に更新されていく。衛星データを用いてばい煙(プルーム)の発生地点を同定し、排出源ごとのCO2排出量を導出する試みが世界の科学者によって進められているが、現状は測定精度と空間分解能の面において課題がある。同研究チームは2023年度に打ち上げが予定されている「温室効果ガス・水循環観測技術衛星(GOSAT-GW)」への応用を視野に入れた研究開発を加速しており、今回、NO2観測データがプルームの発生源同定や形状の割り出しに適していることに着眼し、イメージング分光計を搭載したチャーター航空機を用いて中京圏上空のCO2とNO2の同時観測を世界で初めて実施した。得られたスペクトルデータと風速データに基づき、CO2等の空間的な存在量を解析した結果(800×2000 mメッシュ)、調査範囲内のある火力発電所からのプルームの位置が分かり、当該メッシュのCO2濃度(ガウス関数による調整値)を評価できることが実証された。