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 帯畜大など、ミツガシワ(睡菜)の昼寝現象を確認

発表日:2022.01.20


  帯広畜産大学とソウル大学校の国際共同研究グループは、寒冷地に分布する抽水植物「ミツガシワ」が猛暑下で昼寝現象(midday depression)を起こすことを見い出した。昼寝現象(以下「MD」)とは、晴天時の昼間に植物の光合成速度が低下する現象のこと。土壌の水分状態に応じて「葉の気孔を閉じる」仕組みが要因のひとつと考えられている。国内の水生植物については、いくつかの事例報告(例:ヨシやマコモはMDを起こさない、イネはMDを起こす)はあるものの、陸生植物に比べて情報が少ない。特に、水底に根を張り(土壌水分が飽和状態に近く)、茎や葉の一部を水上に突き出している「抽水植物」のMDは不明な点が多かった。同研究グループは、北海道が記録的な猛暑に襲われた2021年7月18-19日(葉のある地上25cm付近の19日の最高気温は37.9℃)に、帯広畜産大学構内のビオトープに生息しているミツガシワのMDを調査した。その結果、「光―光合成曲線(photosynthetic light-response curve)」の日変化が明らかになり、陸生植物の事例報告と同様、MDは当日朝に始まり、正午頃にピークに達することが分かった。ミツガシワがMDを起こす植物であることを示すと同時に、MDは種ごとに起きるかどうかが決まっているという議論ではなく、今後は「環境ストレスの程度」が問題になると指摘している。また、極端な暑さにより抽水植物でもMDが起こり得ることや、冷涼な地域であっても植物の生産性が低下することを実証した、という点においても意味があると述べている。温暖化の進行に伴う道内植物(作物)のMD拡大が懸念されるという。

情報源 帯広畜産大学 ニュース
機関 帯広畜産大学 ソウル大学校
分野 地球環境
自然環境
キーワード ビオトープ | 寒冷地 | 猛暑 | 環境ストレス | 水生植物 | 抽水植物 | ミツガシワ | 昼寝現象 | midday depression | photosynthetic light-response curve
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