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 国環研など、幻の花「ラフレシア」の新産地をリポート

発表日:2022.02.25


  国立環境研究所、京都大学、総合研究大学院大学およびForest Department Sarawakからなる研究チームは、ラフレシア科植物(個体群)の新産地における調査研究成果を発表した。ラフレシア科植物(以下「ラフレシア」と総称)は、東南アジア島嶼部とマレー半島に分布する寄生植物で、多肉質の大形の花を咲かせ、3日で枯れてしまうことや、送粉者(ハエの仲間)を誘引するために強烈な腐臭を発するといったユニークな特徴を持っている。近縁種が数十種報告されており、マレーシアのボルネオ島には9種のラフレシアが自生している。それらの自生地はエコツアー等の重要な資源となっており、ボルネオ島北西部に位置するサラワク州では4種のラフレシアを保護対象としている。同研究チームは、2012年にダム開発に伴い見い出された新規の個体群を対象として、形態による近縁種との比較とミトコンドリアDNAによる系統解析を行うとともに、攪乱環境の異なるフィールドで花芽の成長と死亡を観察・記録した(調査場所:サワラク州ナハ・ジャレー地域、野外調査期間:2013年4~11月)。その結果、同地のラフレシアはRafflesia tuan-mudaeと同種であることが判明し、これまで不足していた基本的な知見を取得することができた。今次調査で得られた新知見として、ⅰ)同地がR. tuan-mudae の最東分布地であること、ⅱ)ラフレシアの花芽は、初期および若年期(直径10cm程度まで)の成長は非常に遅いものの、開花直前までの成熟期(直径10~30cm程度まで)では急速な花芽サイズの増加を遂げる指数関数的な成長を示すこと、ⅲ) 目視で確認できる程度のサイズの芽から開花までは約1年の期間を要すると推定されること、を挙げている。また、8割以上の花芽が開花に至る前に死亡しているフィールドも見られ、ラフレシアの脆弱性が自然的条件と人為的攪乱の影響を受けていることが示唆された。同地におけるラフレシア保護はもとより、ラフレシアが分布する地域社会における生物多様性保全、地域振興、環境教育の推進等に資する成果、と評価している。

情報源 国立環境研究所 報道発表
京都大学 Latest research news
機関 国立環境研究所 京都大学 総合研究大学院大学 Forest Department Sarawak
分野 自然環境
キーワード マレーシア | エコツアー | ボルネオ島 | ミトコンドリアDNA | ラフレシア | 寄生植物 | サラワク州 | ナハ・ジャレー地域 | Rafflesia tuan-mudae | 人為的攪乱
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