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 名大など、子どものグリホサート曝露実態を初解明

発表日:2022.04.15


  名古屋大学大学院医学系研究科を中心とする研究グループは、日本人小児を対象としたグリホサート(以下「Gly」)曝露に関する研究成果を発表した。Glyとその塩類は、世界で最も使用されている「アミノ酸系除草剤」の原料。農業・園芸用のみならず、近年では家庭の雑草管理やガーデニングなどに広く用いられるようになってきた。グリシンとリン酸を主成分とし環境にやさしく、比較的安全性が高い薬剤と見られているが、毒性を指摘する報告もあり、諸外国では生体試料分析を用いた曝露評価(ヒトバイオモニタリング, HBM)およびリスク評価が試行されている。同研究グループは、2000年代以降、Gly等の国内出荷量が増加傾向にあり、子どもへの曝露影響が懸念されることや、日本人を対象とした詳細な調査研究がなされていないことから、日本人小児(4~6歳、各調査年n=50)の「尿中Gly濃度」について時系列分析を行い、さらにGly曝露レベルと変動要因に関する横断的研究に取り組んだ。早朝に採取した子どもたちの尿サンプルの超高感度分析を行った結果、1)2011年と2015年の尿中Gly濃度は有意に高い(2006年比)、2)2006~2015年にかけて尿中Gly濃度は増加傾向にある、といった新知見を得ることに成功した。一方、尿中Gly濃度は季節性(夏と冬)や性差は認められず、他の農薬の尿中曝露マーカー、たとえばピレスロイドやネオニコチノイド系殺虫剤曝露マーカーとの相関は観察されなかった。既報の方法を用いて尿中Gly濃度から一日Gly摂取量を概算した結果、今回観察された最大Gly濃度の対象者であっても、一日許容摂取量の1%以下であったと報告している。Gly曝露レベルの理解深化に向け、小児の尿サンプルなどを用いた「HBM」の継続と応用展開が求められる、という。

情報源 名古屋大学 プレスリリース
機関 名古屋大学
分野 健康・化学物質
キーワード 毒性 | グリホサート | ヒトバイオモニタリング | 季節性 | アミノ酸系除草剤 | 尿サンプル | 性差 | 尿中曝露マーカー | 一日許容摂取量 | 曝露レベル
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