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 国環研、絶滅危惧種ハビタット内の森林かく乱要因を地球規模で分析

発表日:2022.05.13


  国立環境研究所は、森林に生息する絶滅危惧種の分布域の中にある森林(以下「脅威にさらされているエリア」)の減少が、世界的に見ると、主に「移動農業」によるかく乱(撹乱)よって引き起こされていることを解明した。世界全体の陸地の約31%を占める森林の面積は、干ばつや森林火災はもとより、土地利用の転換や木材需要の増大といった社会経済的な影響を受けて年間500万ha超のペースで減少し続けている。同研究所は、森林が多様な生物の生息地として重要な機能を果たしているという視座から、これまで十分に理解されていなかった、森林減少を引き起こしている主要な「かく乱要因(商業的な生産による開発、焼畑を含む移動農業、林業、火災、都市化)」と絶滅危惧種の分布を、多角的に検証した。具体的には、公開されている森林性絶滅危惧種6,164種(ほ乳類1,227種、鳥類1,855種、は虫類881種、両生類2,201種)の分布域情報と、森林かく乱要因の全球地図を重ね合わせ、世界全体、国・地域別、対象種のグループ別に比較検証する手法を用いている。今回の分析を通じて、「脅威にさらされているエリア」内における森林減少の割合は73%に達していることが示唆された(世界全体の森林減少割合は42%)。また、低緯度・熱帯地域では焼畑を含む移動農業によるかく乱の割合が高く、世界全体の絶滅危惧種の分布域内では49%と非常に高くなることが明らかになった(世界全体の森林かく乱割合は14%)。これらの知見は、保護区と共に重視すべき「もう一つの生物多様性保全地域(OECM)」の仕組みを活用した新たな森林保全対策を立案・実施する上で、重要な基盤情報になると期待される。

情報源 国立環境研究所 報道発表
機関 国立環境研究所
分野 自然環境
キーワード 生物多様性 | 焼畑 | 絶滅危惧種 | 撹乱 | 保護区 | OECM | 移動農業 | かく乱 | 森林性絶滅危惧種 | 森林保全対策
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