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 鉛ばく露・喫煙が約27%、低出産体重児が生まれる原因(人口寄与割合ベース)

発表日:2022.11.22


  国立環境研究所エコチル調査コアセンターの西浜特別研究員らは、低出産体重児が生まれる複数の要因を特定し、それらの「人口寄与割合」を明らかにした。世界保健機関(WHO)は、低出産体重児(出生体重が2500g未満の赤ちゃん)の3割減少を目指している。しかし、日本では低出産体重児の出生数割合は東アジア・太平洋地域の平均値(6%)を上回る状態で推移しており、微増傾向にある(1999年:8.4%、2019年:9.4%)。本研究は、本邦の低出生体重要因を特定し、有効な対策を探るために実施されたもの。同研究員と大阪府立病院機構大阪国際がんセンターの田淵部長補佐らが共同で、「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」のデータの網羅的な解析に取り組んだ。先ず、同調査の質問票から読み取れる情報(例:出産時の母の年齢等)や妊娠中の栄養状態や喫煙に関するデータを洗い出し、それぞれの「低出生体重に対する『相対危険度』」を推定した。次に、相対危険度と「低出生体重と関連のあった要因(以下『関連要因』)」を持つ母親の割合を用いて「人口寄与割合」を算出した。関連要因として、8つの項目(①出産回数、②子宮腺筋症の既往歴、③妊娠高血圧症候群、④出産時の母の年齢、⑤母の妊娠前BMI、⑥妊娠時の体重増加量、⑦鉛へのばく露、⑧母の妊娠中の喫煙)が浮かび上がった。人口寄与割合は、⑥が16.5%と最も高く、次いで①(16.1%)、⑦(14.6%)の順に高かった。①~⑧は人口寄与割合の約80%を占めており、エコチル調査の成果を用いて低出産体重児が生まれる原因の大部分を説明できることが実証された。環境要因(⑦、⑧)は人口寄与割合の約27%を占めていることから、妊娠中の環境要因を改善することで低出生体重の発生を約3割低減できる可能性が示唆された。

情報源 国立環境研究所 報道発表
機関 国立環境研究所 大阪国際がんセンター
分野 健康・化学物質
キーワード WHO | エコチル調査 | 子どもの健康と環境に関する全国調査 | 喫煙 | 鉛ばく露 | 低出産体重児 | 人口寄与割合 | 低出産体重 | 相対危険度 | 妊娠時の体重増加量
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