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 どんぐり生産量の正確な予測に成功~野生動物の個体数予測への応用も期待

発表日:2024.02.01


  北海道大学の加藤准教授と国立環境研究所のヴェグ・レア学術研究員は、どんぐり(ブナ科樹木の堅果)の生産量を予測する新しいシミュレーションモデルを開発した。どんぐりは、クマ・イノシシ・ネズミなどの野生動物にとって重要な食料源であり、豊凶の周期はこれらの動物の個体数や生態系のバランスに大きな影響を与える。どんぐりの生産量は毎年一定ではなく、数年に一度の豊作と凶作のサイクルを繰り返す。近年、豊凶のサイクルが短くなり、凶作年に野生動物が人間の生活圏に近づく事例が増えている。本研究では、樹木の生理的な炭素循環を再現する動的植生モデルSEIB-DGVMに、どんぐりの生産に必要な炭水化物プールを追加することで、どんぐり生産量に特化したシミュレーションモデルを構築している。同モデルの精度は、北海道大学北方圏フィールド科学センター雨竜研究林におけるミズナラのどんぐり生産量の約40年間の観測データを再現できるレベルとなっている。検証を通じて、最も良い推定精度を表す3つのパラメータセットも特定されている。本成果により、野生動物の食料となるどんぐりの生産量をより正確に予測することが可能となった。将来的にはどんぐりに依存している野生動物の個体数の予測にも応用できるという(DOI: 10.1016/j.ecolmodel.2023.110577)。

情報源 北海道大学 プレスリリース
国立環境研究所 報道発表
機関 北海道大学 国立環境研究所
分野 自然環境
キーワード 炭素循環 | イノシシ | クマ | どんぐり | 北大研究林 | 個体数予測 | ネズミ | 動的植生モデル | マスティング | SEIB-DGVM
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