草原は地球上の31.5%を占め、食料生産や気候調節などの重要な機能を担っているが、気候変動や過放牧によって脆弱化している。特に、過放牧は草原生態系の破壊や砂漠化の進行を加速させ、生物多様性の喪失など深刻な影響をもたらす可能性がある。そこで国立環境研究所地域環境保全領域の王勤学らの研究チームは、モンゴルの草原における牧養力と放牧密度の地域差を解明するための研究を行った。この研究は、牧養力と放牧密度を詳細に分析し、草原の持続可能な管理に向けた科学的指標を提供することを目的としている。統合モデルの開発や過去20年間のデータ分析を通じて、草原管理に必要な情報を収集し、将来のシナリオに備える準備を進めた。その結果、モンゴルの草原において南部地域の牧養力低下と中部都市周辺の放牧密度の高さなど、地域ごとの特徴が明らかになった。さらに、将来のシナリオにおける草原の状況を予測し、それぞれのシナリオが草原の牧養力と放牧密度に与える影響を評価したところ、砂漠化防止や草原劣化対策、スマート放牧システムの開発と導入が必要であることが示唆された。今後、モデルの信頼性向上や地域社会での活用を目指すとともに、放牧シナリオの探索と感度分析を深化させることで、持続可能な管理と保全への取り組みを促進するという。草原生態系の有効な管理の推進、気候変動への柔軟な適応とその影響の軽減、生物多様性の保全、持続可能な開発に寄与することが期待される(DOI: https://doi.org/10.1016/j.scitotenv.2023.169772)。
情報源 |
国立環境研究所 報道発表
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機関 | 国立環境研究所 |
分野 |
地球環境 自然環境 |
キーワード | 気候変動 | モンゴル | 草原 | 過放牧 | シナリオ分析 | 統合モデル | 放牧密度 | 牧養力 | 持続可能な管理 | 地域差 |
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