北海道大学大学院修士課程の松島さんと角井講師の研究グループは、2009年に名古屋港水族館で発見された甲殻類が新種であると確認した。この甲殻類は水槽内のライブロック(付着生物のついた死サンゴ塊)や底砂に紛れて侵入したもので、タナイス類の一種。長年にわたり研究室で飼育されていたが、分類が難しく種名が確定していなかった。今回の詳細な観察により、既存の種とは異なる特徴を持つことが分かり、新種として報告された。この新種は「Apseudes ranma(ランマアプセウデス)」と名付けられた。高橋留美子氏の代表作「らんま1/2」に登場する男性ながら女性にもなりうる「早乙女乱馬(らんま)」に因んでいる。本種は雌雄同体であることが特徴で、両側のハサミ型の脚には摩擦音器と考えられる構造が見つかっている。タナイス類の多様性と生態に新たな知見をもたらす発見となった(DOI: https://doi.org/10.5343/bms.2024.0030)。