愛媛大学ミュージアムの吉田貴大准教授と東京都立大学大学院の瀬島勇飛氏は、沖縄県宮古諸島の多良間島および水納島において、コガネムシ科ハナムグリ亜科に属する新種「ヒスイコアオハナムグリ(Gametis polita)」を発見・記載した(掲載誌:Zootaxa)。――日本国内で狭義ハナムグリ亜科の新種が発見されるのは約半世紀ぶりであり、あわせて南琉球に分布する既知の亜種群についても、独立種「イシガキコアオハナムグリ(Gametis ishigakiana)」として再分類する上で重要な知見を提供した。
コアオハナムグリ属は、体長が大きく美麗な色彩をもつことから人気の高い分類群である。従来、日本には2種(コアオハナムグリ、オキナワコアオハナムグリ)が知られていたが、後者には地域ごとに4亜種が存在していた。これらの分類は形態に基づいていたが、遺伝的な距離は未検討であった。本研究では、ミトコンドリアDNAのCOI領域(797 bp)を用いた分子系統解析と形態比較を統合する「統合分類学的手法」により、これらの分類群の再評価を行った。その結果、宮古諸島の個体群が新種であること、また南琉球の3亜種(宮古・八重山・与那国)が沖縄諸島以北の基亜種とは種レベルで分化していることが明らかとなった。これにより、日本産コアオハナムグリ属の種数は2種から4種に倍増した。
研究グループは、今後台湾に分布する未検討の亜種についても分類学的検討を進める予定である。本研究は、笹川科学研究助成(2024-5040)およびJST次世代研究者挑戦的研究プログラム(JPMJSP2156)の支援を受けて実施された。
情報源 |
愛媛大学 プレスリリース
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機関 | 愛媛大学 |
分野 |
自然環境 |
キーワード | 生物分類 | 分子系統解析 | 種多様性 | 新種発見 | 形態比較 | 統合分類学 | COI領域 | ハナムグリ亜科 | 南琉球 | 日本産昆虫 |
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