環境省は9月3日、奄美大島におけるフイリマングースの根絶を公式に宣言した。この発表は、奄美大島フイリマングース防除事業検討会の評価に基づくもので、東京女子大学の石井名誉教授が委員長を務め、学識経験者や有識者による慎重な検討を経て発出された。フイリマングースは、東南アジアや西南アジアを原産とする昼行性の雑食性哺乳類で、1910年頃、主にネズミやハブの駆除目的で日本に持ち込まれた。奄美大島には1979年に30頭ほどが沖縄島から導入され、奄美市(当時は名瀬市)北部に放獣されたことにより、島内で繁殖・定着することになった。その結果、フイリマングースは奄美大島内で急速に分布域を拡大し、農畜産物への被害が発生。さらに、アマミノクロウサギやその他多くの固有種が捕食され、生態系への深刻な影響が広がった。―――2005年に外来生物法が施行され、国や地方自治体による本格的な防除体制が構築されたことで、奄美大島におけるマングース対策は新たな段階に入った。特に、「奄美マングースバスターズ」と呼ばれるプロの捕獲集団が中心となって捕獲活動を展開し、その結果、島内のマングースの推定個体数は急速に減少し、最終的には限りなくゼロに近づいた。しかし、ある生物種が地域から完全にいなくなったことを科学的に証明することは非常に難しい。防除活動の最終段階に差しかかっていても、「根絶」の判断には捕獲数だけでなく、他の科学的な根拠が求められた。―――この課題に対処するため、環境省は「侵略的外来哺乳類の防除政策決定プロセスのための対策技術の高度化」という研究事業の一環として、根絶確率を推計する新たな手法を開発した。この手法は、捕獲データや生態学的な知見をもとにして、フイリマングースが根絶された可能性を定量的に評価することを可能にするものである。今回の評価では、エリアベースの根絶確率が99.7%、個体ベースの根絶確率が98.9%に達し、これに基づいて根絶が確定された。―――奄美大島(面積71,200ヘクタール)におけるフイリマングースの根絶は、四半世紀以上にわたる取り組みの集大成であり、生物多様性保全の観点から極めて重要な成果である。この成功は、外来種対策に取り組む世界中の専門家からも注目されており、同種の外来生物に対する取り組みのモデルケースとして位置づけられている。奄美大島での根絶活動に携わった多くの関係者の努力が結実し、今回の宣言はその成果を象徴するものである。―――【第二のマングースを生まないために】外来種被害予防三原則:外来種を入れない・捨てない(逃がさない、放さない)・拡げない(増やさない)の徹底をお願いします!
情報源 |
環境省沖縄奄美自然環境事務所 報道発表
環境省 報道発表 |
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機関 | 環境省沖縄奄美自然環境事務所 環境省 |
分野 |
自然環境 |
キーワード | 生物多様性 | 外来生物法 | 生態系保全 | フイリマングース | 外来種駆除 | 奄美マングースバスターズ | 根絶確率 | Harvest-based Model | Rapid Eradication Assessment)の |
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